地のめぶける 1

 ふぅ、とひとつ。息を吐く。
すぅ、とふたつ。息を吸う。

―――この喉を通る薄い空気すらない時代に、あの子は生まれたのか。灯火だけが揺れる洞の奥で寝ころびながら、眞白は出会いの前を思う。
私を真逆の色で呼ぶ子、確かに私の一部を成す片割れ。ただ一人……ただ一人私の歌を舞い踊る子。
冷たい水の滴りが伝う天井の向こうにあの子と出会った宵の空を思いながら過ごす孤独の日々は、まだこれからも続くだろう。
息さえしていれば、この体の中に水さえあれば、きっと。どんな姿であろうともあの子は、私のもとへ来る。
だから、私はいつまでもあきらめない。一目、もう一度会うまでは。

ふぅ、と大きく息を吐く。すぅ、と小さく息を吸う。

見逃したりなんかしないよう、この瞳だけ見開いて。